大きな勘違い (1)

   

「民事訴訟」、「少額訴訟」、「民事調停」、「支払督促」について、

政府広報「簡易裁判所の「支払督促」手続をご存じですか?」では、「お金を支払ってほしい」そんな場合の解決方法は?」では 次の説明がされています。

 

 

「お金を支払ってほしい」そんな場合の解決方法は?

「貸したお金をなかなか返してもらえない」「売掛となったままのお金を回収したい」「滞納されている家賃を支払ってもらいたい」「滞っている給料をちゃんと支払ってもらいたい」など、お金の未払いに関する紛争は、私たちの日常生活のさまざまな場面で発生することがあります。

そうした場合は民事訴訟の手続を利用して法的に解決を図ることができますが、いざ訴訟となると手間や費用の点でためらってしまう、ということは多いのではないでしょうか。でも、お金の未払いに関するトラブルを解決するためには、「民事訴訟(「少額訴訟」を含む。)」のほかにも、「民事調停」や「支払督促」といった手続があります。これらの手続は、金額や迅速性、手間などさまざまな事情に応じて、使い分けることができます。

それぞれの手続の特徴は下の表のとおりです。

 簡易裁判所の「支払督促」手続をご存じですか?:政府広報オンライン

どの手続を利用するかは、利用者自身が選ぶことができます。例えば、話し合いによる円満な解決の見込みがあれば「民事調停」で、また、紛争の対象となっている金額が60万円以下であれば「少額訴訟」で、といった選び方が考えられるでしょう。

 

説明を要約すれば、「『民事訴訟』は手間や費用がかかるけれど、他にも金額、迅速性、手間がかからない『少額訴訟』、『民事調停』、『支払督促』という手続が準備されていて使い分けができる」との説明がされているものと言えます。

ですが、この解説には、いろいろ引っ掛かるところがあります。

まず、「民事訴訟の手続を利用して法的に解決を図ることができます」と説明がされていますが、「解決を図ることかできる」とは、何を言っているのでしょう?

民事訴訟上の手続を利用しても、貸し金が返ってくるかどうかは分かりませんし、売掛金が回収できるかどうかも分かりません。それは家賃も、給料でも一緒です。

「解決を図ることができる」=「民事訴訟上の手続を(手数料さえ払えば)利用できる」 ということを言っているとしか考えられませんが、そんなの詐欺的な表現です。

 

次に、「民事訴訟の手続を利用して法的に解決を図ることができますが、いざ訴訟となると手間や費用の点でためらってしまう、ということは多いのではないでしょうか。でも、お金の未払いに関するトラブルを解決するためには、『民事訴訟(『少額訴訟』を含む。)』のほかにも、『民事調停』や『支払督促』といった手続があります。これらの手続は、金額や迅速性、手間などさまざまな事情に応じて、使い分けることができます」と説明がされていますが、

 

「民事訴訟」と「少額訴訟」、「支払督促」の3つと、「民事調停」は、同列に論じられる制度ではありません。

「民事調停」は話合いの延長みたいな制度で、話合いが付かなければ、何も強制力が発揮されることはありません。

それに対し、「民事訴訟」、「少額訴訟」、「支払督促」では最終的に裁判が下され、裁判書に従い、債権者が債務者から強制的に財産を合法的に取立てることを可能とします。

手続の意味合いが全然違います。

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