ゴルフ会員権 預託金の回収 (4) クレジットカード売上の差押え
ゴルフ場のクレジットカード売上に対して、クレジット会社を第三債務者として債権執行する場合に、差押債権目録をどう書いたらよいかという質問を知り合いから受けました。
民事法研究会「書式債権・その他財産権・動産等執行の実務」の「Ⅴ 差押債権目録の作成」の段落にある「カード代金債権」の例文どおり、差押債権目録を書かないと裁判所に訂正するよう言われるのかというのが 質問の趣旨でした。
多少、自慢となりますが、「書式債権・その他財産権・動産等執行の実務」に「カード代金債権」の差押債権目録の例文が掲載されていなかった、平成11年11月26日発令の債権差押命令申立事件(名古屋地方裁判所平成11年(ル)第3514号)で、ゴルフ場のクレジットカード売上を初めて差押えました。
その事件の 差押債権目録を見てみると、
差押債権目録
金 〇,〇〇〇,〇〇〇円
ただし、債務者が第三債務者から、債権者と第三債務者との間で締結された加盟店契約に基づき債務者が第三者債務者から支払いを受ける、上記契約の契約締結日から平成12年5月24日までに支払期が到来する立替払金請求権にして、支払額の到来した順序で、支払期の同じ場合は金額の大きい順序で、頭書金額に満つるまで。
との内容で債権差押命令が発令されています。
(下線部は、差し押える債権の範囲を、いつからいつまでの分と特定する必要があるため、そのような表現をしています。また、「平成12年5月24日まで」となっているのは、継続的給付に係る債権は6ヶ月分しか差押えを認めてくれないためで、申立てから6ヶ月後の応答日を書いています。)
その後、差押債権目録を ほんの少しだけ 改良しました。
直近に申立てをしている 平成28年2月の事件の差押債権目録を見てもらえば分かりますが、それでは差押債権目録を、
差押債権目録
金〇,〇〇〇,〇〇〇円
ただし,債務者が第三債務者から,債務者と第三債務者との間で締結された加盟店契約に基づき債務者が第三債務者から支払いを受ける,上記契約の契約締結日から平成28年8月12日までに支払期が到来する,カード利用による売上債権の譲渡代金債権ないし立替払金請求権にして,支払期が到来した順序で,支払期の同じ場合は金額の大きい順序で,頭書金額に満つるまで。
としています。
下線部の「カード利用による売上債権の譲渡代金債権ないし立替払金請求権にして」の部分が、平成11年のと違っています。
これは、クレジットカード加盟店のクレジットカード売上に関する債権を、売上債権の譲渡代金債権と言っているクレジット会社と、立替払金請求権と言っているクレジット会社があるため、そのどちらでもよいので差押えをするということを表現しているわけです。
こんな差押債権目録の内容で何十回も債権差押命令申立をしてきていますが、裁判所には補正をするよう言われたことはありません。なのでこの程度のものでよいと私は考えています。