自分が不注意だったので仕方ないか-供託物払渡請求
債権差押手続で差押えた給料を、第三債務者である雇主が供託したため、配当手続となりました。
債権配当に与かるなど、本当に久しぶりのことです。
競合する差押債権者などいないので、弁済金の交付として、雇主が供託したお金を全額もらえることになります。少額にしろ、お金を回収できることは、債権差押えをした弁護士にとり、喜ばしいことです(やったことがある方は理解いただけることだと思います。)。裁判所が弁済金交付期日と指定した日時の予定を空けておき、弁済金交付期日に裁判所の債権執行係に出向きました。
弁済金交付期日に担当書記官からいただけるものは、供託物払渡請求書に添付して法務局の供託課に提出する「支払証明書」だけで、現金をもらえるわけではありません(「支払証明書」の様式はこんなフォーマットになります)。
ただ、その支払証明書があれば、法務局の供託課で供託金の払渡しを受けることができます。そんなわけで、法務局の供託課にその足で出掛け、供託物払渡請求書と支払証明書、印鑑証明書を提出しました。「1時間ほど待ってください」ということでした。それから少し立ったころ、係の人から「まだ裁判所から支払委託書が届いていないので手続を進めることができません。支払委託書が供託所に届いてから出直してください」と言われ、提出した書類を返却されてしまいました。(裁判所が供託所に送る支払委託書のフォーマットはこんなものとなります。)
うっかりしてました。
供託規則30条は、供託物の払渡しの特則を定めています。
(配当等の場合の特則)
第三十条 配当その他官庁又は公署の決定によつて供託物の払渡しをすべき場合には、当該官庁又は公署は、供託物の種類に従い、供託所に第二十七号から第二十八号の二までの書式の支払委託書を送付し、払渡しを受けるべき者に第二十九号書式の証明書を交付しなければならない。
2 前項に規定する場合において、供託物の払渡しを受けるべき者は、供託物払渡請求書に同項の証明書を添付しなければならない。
裁判官から届いた支払委託書と、払渡しを受けるものが持参する裁判所発行の支払証明書の両者を確認した上で、供託物の払渡しがなされるということを規定していることのようです。
「証明書をくれた際に、書記官が教えてくれてもいいのになぁ」と恨み節が出てしまいそうですが、自分のミスですので致し方ありません。出直すしかありません。
法務局のホームページ上に、「○裁判所から差押命令が送達されてきた場合にする執行供託の供
託物払渡請求手続は,どのようにしたらよいですか。」というQ&Aがありますが、「裁判所から支払委託書が届いてからしか供託物の払渡手続はできませんよ」などと言ったことは書かれていません。
裁判所から届いた「弁済金交付日通知書」を、再度、読み直してみました。
上記当事者間の配当等手続事件について、配当等期日が下記のとおり定められたので、通知しました。なお、お越しいただく必要はありません。
記
弁済金交付日 平成30年5月××日 午前10時10分
債権者は、同封の債権計算書兼請書に所要事項を記載し、この書面を受け取った日から1週間以内に提出してください。
1 欠席される場合,債権計算書兼期日請書とともに,返信用封筒および受書も送付ください。
2 出頭される場合,この呼出状,印鑑(申立時のもの又は実印及び印鑑証明書)及び身分証明書を持参してください。ただし,当日交付するのは法務局で供託金を受領するための証明書となります。
3 上記期日前に配当票等の原案を確認したい方は,予めお申し出下さい。
「支払証明書」は、裁判所から債権者に郵送され、郵送されてきた「支払証明書」を持参して供託所で供託金の払渡手続を債権者がする際には、裁判所から供託所に「支払委託書」が郵送で届いていて、債権者が「支払委託書」が届いていないために払渡手続を受けられないことなど起きないということのようですね。
「支払証明書」の交付は、郵送でなされることを前提として運用されているということか